池田理代子 マーガレットコミックス 集英社

(1)ベルサイユのばら

 『ベルサイユのばら』の連載が始まった頃、私はそれをリアルタイムで読んでいましたが、最初の頃は、歴史ものであること、他の少女漫画と比べて考証がしっかりしていて骨のある感じがしたことぐらいは覚えているのですが、後であんなにブレークするとは思いませんでした。実際、初めはほとんど他の連載ものに紛れていて、絵柄もいかにもの当時の少女漫画的(顔の4分の1以上を占める大きくて星の輝く目、カールしたまつげ、たてロール金髪のキャラクター、ぶちぬきコマ割りと意味もなく背景に飛んでいる花などのお約束)だったし、それほど目立ってはいなかったと記憶しています。

 『ベルサイユのばら』が一気に少女漫画の枠を超えてメジャーになったのは、宝塚で取り上げられたからだと思います。たぶん、作者はそこまで考えてはいなかったと思うのですが、主役のオスカルという男装のキャラクター、ロココ時代のフランス宮廷のコスチュームプレイ、フランス革命というドラマティックな時代背景、といった設定が、ちょうど宝塚のセンスとぴったり合致していたことが、この結果を生んだのでしょう。少女漫画のファン層と宝塚のファン層は重なっている部分がもともとあるし、当時の少女漫画には宝塚と共通する約束ごとや感覚が相当あったように思います。両者がたぶん、明治・大正時代あたりの大衆文化の一翼を担っていた「少女文化」を共通のルーツとしているのは推測できることです。

 作者の池田理代子は、この作品について、「同性愛の要素を意識的に取り入れた」と語っていましたが、男装の女性キャラクターといえば、手塚漫画の『リボンの騎士』のサファイヤが既に有名でした。手塚治虫の場合は、宝塚出身で宝塚ファンでもあり、そこから自然と発想して生まれたキャラクターなのですが、彼が宝塚から少女漫画に「輸入」した両性具有キャラを、更に発展させてまた宝塚に輸出し、宝塚側から見れば逆輸入?になっているところが面白いです。





 

 
 

 



            

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